出版物紹介

教育

教育の＜不可能性＞と向き合うー優生思想・障害者解放運動・他者への欲望

著者：森岡　次郎
A5判、上製本、170頁
2,200円（本体価格2,000円+税）
9784909933331　C0037

内容要旨

目次
はじめに
第1章　能力主義と優生思想　―すべての人間が存在するための「社会」―
第2章「青い芝の会」の思想と運動　―「内なる優生思想」という問題―
第3章　障害者のディクール　―解放理論の政治的意義と社会構築主義のアポリア―
第4章「新優生学的欲望」と「他者への欲望」―「新優生学」と教育の類縁性と背反―
第5章「他者への欲望」とレヴィナスの倫理学
補論　「障害児童」の保護者との対話から
おわりに
引用・参考文献一覧

教育という営みは、しばしば「うまくいかない」。現代社会においては教育にかかる期待は大きいが、そこには本質的な実現〈不可能性〉が内包されている。本書は、教育の〈不可能性〉と向き合い、そこに積極的な意義と価値を見いだそうとする理論的試みである。
　人間を「能力」によって格付けし、「できない」存在を排除しようとする能力主義・優生思想。優生学的欲望によって駆動される生殖医療や遺伝学の技術的展開。これらに対する批判的な議論を取り上げながら「できるようになること」に価値をおく私たちの社会のあり方を問い直し、思い通りに人間を改変しようとする設計的人間観や教育観を問い直す。
　「できなくてもよい」ではない。ましてや「できない方がよい」でもない。「できるようになること」を目指しながらも「できないままでいること」を許容する。教育という営みを「可能性の実現」という囚われから解放するための試論である。

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