2025.5.14
田村歩著『経験主義者デカルト』が近日、発行されます。
田村歩著『経験主義者デカルト』が近日、発行されます。
発行日 令和7年5月20日
並製本 140頁
定価 2,000円
<概要>
西洋近世哲学は従来、合理主義と経験主義とに大別され、近世哲学の父として名高いデカルトは前者に分類される。しかしこの分類から生ずるイメージに反して、デカルトは自身の形而上学において「経験」という手法を多用している。しかも、アリストテレス以降の哲学者たちにとって経験とは一般的に感覚ないし記憶から生じるものであったが、デカルトはこの伝統的な用法とは明らかに異なる仕方で用いているのである。本書は、デカルト哲学の長い研究史において主題的に論じられることの稀であったデカルト的「経験」概念がもつ機能や意義について、キケロやセクストスといった古代哲学、そしてドゥンス・スコトゥスやフォンセカといった中世哲学にも目配りしつつ明らかにしていく。そして本書が提示する諸解釈が正しければ、デカルト形而上学は合理主義には収まりきらない。彼が合理主義者であったことは否定されないが、同時に経験主義者でもある。タイトルを『経験主義者デカルト』としたゆえんである 。