千佐さんのことは全然知らないわけではなかったが、この本のことはまったく別ルートで思いもよらない人から紹介された。

4冊の本から成っていることも知らず、紹介された時に読ませてもらったのが第II部にあたる「仕事」で、釘付けになりそのまま数日借りることにした。多彩なインタビュー記事に、孵化寸前のアヒルの卵などアジアの珍しい食べ物や少数民族の村を訪ねる紀行文、ホームレスに弟子入りするというような体験ルポなど、無限の行動力と好奇心が広がっている。

その後、4冊すべてを手にした。第III部、第IV部の2冊の「日記」には、果敢な取材のウラ話や、楽しく優しい仲間との熱気あふれる日常が綴られ、病気がわかった後もポジティブに乗り切ろうとする健気な姿も見える。毎日をフルスロットルで楽しんでいる30代女子のもとに病が降りてくるのだから、本当に神様は罪作りだ。

最後にとっておいたのは、彼女の親しい人や交流のあった人達による追悼文が綴られた第I部の「追悼」。亡くなる直前まで持ち続けたライター魂と朗らかさと気遣いは、職業人として、人として大きな存在であり、一度も会えなかったことが残念でたまらない。

ライター 林 秀代